展示会の会期中、ブースで名刺交換した相手に「後日、改めてご連絡します」と伝えて、実際に連絡した時のことです。「来週あたり、いかがですか」とメールを送りました。返信が来ませんでした。3日後にもう一度送りました。それでも来ませんでした。
正直、こういうことは何度もありました。私が悪いんです。相手に「考えさせる余白」を渡しすぎていたんです。
TSUNAIDEでは、商談の成果を名刺の枚数では測りません。「次回商談の日程を確定できた件数」で測っています。名刺は100枚集まっても、日程が1件も決まらなければ、その展示会は失敗です。逆に名刺が30枚でも、日程が10件確定していれば成功です。この基準に変えてから、追客の聞き方そのものを見直しました。
「いつがいいですか」が決まらない理由
「いつがご都合よろしいですか」という聞き方は、丁寧に見えて、実は相手に一番負担をかけています。相手は自分のスケジュールを開いて、空いている日を探して、こちらに合わせて返信を作る、という作業を強いられます。展示会後の忙しい時期に、そんな手間をかけてくれる担当者はまれです。だから返信が来ない。来ないまま、案件はフェードアウトしていきます。
これは相手が冷たいからではありません。聞き方の設計が甘いだけなんです。
2択で聞くと、なぜ決まるのか
私が現場で実際に使っているのは、こういう聞き方です。
「来週の火曜15時か、木曜11時、どちらかご都合よろしい方はありますか?」
ポイントは、相手に「選ぶだけ」の作業しか残さないことです。空いている日を探す作業も、候補を考える作業も、こちらが先にやっておく。相手がやることは、AかBか、丸をつけるだけです。
もうひとつ、展示会の会期中、ブースでその場で使えるセリフも紹介します。
「来週、御社にお伺いするか、オンラインでお時間いただくか、どちらがやりやすいですか?」
これも2択です。「検討します」で終わらせず、その場で選択肢を渡してしまう。会期中にここまで踏み込めるかどうかで、後日の追客の温度がまったく変わります。
2択にする時、3択にする時の分かれ目
ここは条件つきで判断しています。すべてを2択にすればいいわけではありません。
相手がすでに「導入したい」「話を詰めたい」という温度まで来ている場合は、2択で十分です。むしろ選択肢を絞るほうが、相手も即決しやすくなります。
一方で、相手がまだ「情報収集段階」「社内で検討中」という温度の場合は、日程の2択の前に、1問だけ質問を挟みます。
「〇〇の管理、まだ紙やExcelでやられてません?」
この一言で、相手が今困っていることを話し始めたら温度が上がっているサインです。そこで初めて日程の2択に入ります。逆に反応が薄ければ、日程を急がず「資料だけ先にお送りしますね」と一段階戻します。ここで無理に2択を押し付けると、相手は引いてしまいます。
温度を見極めずに、全員に同じ台本で2択を出す。これがいちばん多い失敗です。私も最初の頃、よくやっていました。
AIとテレアポでも、結局は同じ話
当社ではAI開発と営業代行もやっていますが、根っこはすべて同じです。テレアポでは、リスト設計を見直したことで、アポ獲得率が0.6%から3.2%まで上がった案件があります(当社支援案件・2026年時点の実績値、リスト設計を見直した好調案件での実績値です)。これも「誰に、どの温度で、何を聞くか」を先に設計したから出た数字です。話し方を頑張ったわけではありません。
AI開発でも、試作を作って終わりの案件と、本番運用まで進む案件があります。当社の支援案件では、試作から本番運用への移行率が82%です(当社支援案件・2026年時点の実績値です)。ここも共通しているのは、「次に何をするか」を毎回具体的に、選べる形で提示しているということです。抽象的な提案書ではなく、次の一手を2つか3つに絞って渡す。それだけです。
私はこれまで50社以上の支援に関わってきました(当社支援案件・2026年時点の実績値です)。派手な戦略の話は、正直あまりしていません。地味に、日程を2択で出す。温度を見極める。それだけを、会期中も会期後も、泥臭くやり切るかどうかです。
実務チェックリスト
- 会期前に温度別(高・中・低)の追客テンプレを3種類つくる
- 日程提案は必ず2択で出し、日時と手段(訪問/オンライン)まで先に決めておく
- 「まだ紙やExcelでやられてません?」のような温度確認の一言を、業界別に3パターン用意する
- 会期中に温度が高いと感じた相手には、その場で2択の日程を口頭で提示する
- 返信がない相手には、3日後ではなく、別の切り口の一言を添えて再送する
- 商談化の件数ではなく、日程確定の件数を毎週の会議で数える
- 2択で決まらなかった相手の理由を記録し、翌月のテンプレに反映する
