ある展示会で、ブースの前に人が3人立っているのに、誰も声をかけていない場面を見たことがあります。3人とも「呼び込みは自分の仕事じゃない」と思っていたんです。当日になって「誰がやる?」と聞いても、誰も動きません。これ、当日の準備不足じゃなくて、会期前の準備不足です。

私は展示会支援の現場で50社以上の会期設計を見てきました。当社支援案件・2026年時点の実績値ですが、設計込みで支援した展示会は平均20件の商談化につながっています。この数字の裏側にあるのは、派手な仕掛けではなく、当日誰が何をするかを事前に決めきっているかどうかです。正直、地味です。でも地味なことをやり切った現場だけが、商談の日程を確定できています。

役割は「呼び込み・ヒアリング・クロージング」で分ける

ブースに立つ人数が3人なら、この3つの役割を必ず分けます。1人が全部やろうとすると、どれも中途半端になるんです。

呼び込み役は、通路を歩く人に声をかける専門です。ここで大事なのは、質問で終わる声かけをしないこと。「ご興味ありますか?」は足を止めさせません。私が現場で使っているのはこういう言い方です。

「〇〇の管理、まだ紙でやられてません?」

この一言は、相手の課題を決めつけて聞いています。当たっていれば足が止まりますし、外れていても「いや、システム使ってます」と返してくれます。どちらでも会話が始まるんです。

ヒアリング役は、足を止めた人の温度を見極める係です。ここでの判断の分かれ目は「今日この場で商談化できる相手か、持ち帰って後追いする相手か」です。決裁権を持っていて具体的な予算の話ができる相手なら、その場でクロージング役に引き渡します。一方、情報収集目的で来ている相手や、担当者止まりで決裁が別にいる相手には、その場で決めようとせず、次回接触の約束だけを取りに行きます。ここを混同すると、決裁者じゃない相手に長々と説明して、本当に商談化できる相手を取りこぼします。

クロージング役は「その場で日程を確定できる人」に固定する

クロージング役は、名刺交換で終わらせず、次回商談の日程まで確定させる役目です。ここは経験がある人を固定して、当日中にローテーションで交代させないことをおすすめします。人が変わると、聞いた話を最初から説明させる二度手間が発生して、相手の熱が冷めるんです。

クロージングの場面で私がよく使うのはこの一言です。

「来週の水曜か木曜、30分だけお時間いただけますか」

抽象的に「またご連絡します」で終わらせないことが重要です。日程の候補を2つ出して、相手に選ばせる形にすると、その場で予定を確定できます。名刺の枚数ではなく、この日程確定の件数がTSUNAIDEで測っている成果です。

ブース以外の役割も会期前に紙で決めておく

役割分担で見落とされがちなのが、ブース対応以外の仕事です。名刺の集計、当日の在庫や配布物の補充、上長への報連絡、休憩のタイミング。これらを「誰かがやるだろう」で放置すると、全部が後回しになります。

私は会期前日までに、A4一枚の紙に時間帯別の担当表を作って、当日はブースの裏に貼っておくようにしています。デジタルのシートでも構いませんが、当日は忙しくてスマホを開く余裕がない人が多いので、紙で目に入る形にしておくほうが実用的です。

ここでの判断の分かれ目は、休憩の取り方です。人数が3人以下なら、休憩は完全に交代制にして、必ず1人はブースに残す形にします。人数が4人以上いる場合は、休憩を集中させず、1人ずつ時間をずらして、常に呼び込み・ヒアリング・クロージングの3役が同時に埋まっている状態を保ちます。ここを崩すと、一番来場者が多い時間帯に人が足りなくなるんです。

会期後の割り振りまで会期前に決めておく

会期中に確定できなかった名刺、いわゆる持ち帰り分の後追いも、当日の役割分担の延長です。誰がいつまでに連絡するかを会期前に決めておかないと、会期後にリストが放置されます。

当社ではテレアポの後追いも支援していますが、リスト設計を見直した好調案件では、アポ獲得率が0.6%から3.2%まで上がった実績があります。当社支援案件・2026年時点の実績値です。この差は電話のトーク力ではなく、誰にいつ連絡するかという設計の差でした。展示会の後追いも同じで、会期直後の温度が高いうちに連絡する担当を決めておくことが、結果を左右します。

実務チェックリスト

  • 会期前日までに時間帯別の役割分担表を紙で作る
  • 呼び込み・ヒアリング・クロージングの3役を人単位で固定する
  • 呼び込み用の決めつけ型の声かけを3パターン用意する
  • 決裁者かどうかを見極める質問をヒアリング役に共有する
  • クロージングでは日程候補を2つ出して選ばせる形にする
  • 休憩のタイミングをブース裏の担当表に書き込んでおく
  • 持ち帰り名刺の後追い担当と連絡期限を会期前に決めておく