展示会のブースで、担当者が資料をめくりながら説明しているのに、来場者が途中で興味を失ってしまう。よくある場面です。原因は資料の情報量ではなく、説明の順番にあることが少なくありません。製品の特徴を最初に並べても、来場者が自分の課題と結びつけられなければ、聞く姿勢が続かないためです。

展示会資料を作り直す前に、まず何から話すかを決める必要があります。順番の設計は、資料のデザインよりも先に検討すべき工程です。

来場者の課題から入るか、製品の特徴から入るか

展示会資料の構成には、大きく二つの型があります。ひとつは来場者が抱えていそうな課題から入り、その後に自社の対応策を示す型。もうひとつは製品や技術の特徴から入り、その後に活用例を示す型です。

来場者が自社の課題を自覚していない、あるいは業界の共通課題が明確な場合は、課題から入る型が合います。逆に、来場者が既に課題を把握していて製品比較のために回っている場合は、特徴から先に見せたほうが話が早く進みます。

どちらが適切かは、ブースに来る人の層によって変わります。来場者アンケートや名刺交換時の会話記録があれば、どちらの型が多く刺さっているかを振り返る材料になります。

この資料を最初に見た人は、どの一枚で足を止めましたか。

説明の長さをAパターンにするかBパターンにするか

展示会ブースでの接客時間は限られます。立ち寄ってから離れるまで数十秒のケースと、椅子に座ってじっくり話すケースでは、必要な資料の長さが異なります。

想定例として、短時間接客が中心のブースでは、要点を3枚程度に絞ったAパターンの資料が向きます。表紙で課題を一言で示し、2枚目で解決の方向性、3枚目で次の行動を促す構成です。一方、商談につながりやすい来場者が多く、座って話す時間が確保できるブースでは、事例や導入後の流れまで含めたBパターンの資料が適しています。

どちらを選ぶかは、過去の展示会で平均してどれくらいの時間、来場者と話せていたかを振り返ることで判断できます。時間を記録していない場合は、次回の展示会で簡単にメモを取るだけでも材料になります。

既存の資料を直すか、作り直すか

資料の順番を見直す際、すべてを新規に作る必要はありません。既存の資料のスライドの並び順を入れ替えるだけで改善するケースもあります。反対に、要素が混在していて順番の入れ替えでは対応しきれない場合は、構成から作り直したほうが早いこともあります。

判断の目安として、現在の資料が「特徴の説明」「事例」「価格や導入の流れ」の3つの要素を含んでいるなら、それぞれのまとまりを入れ替えるだけで改善を試せます。一方、ひとつのスライドに複数の要素が混ざっていて切り分けられない場合は、作り直しを検討したほうが手間が少なく済みます。

社内で確認する体制を作るかどうか

資料の順番は、作った担当者だけでは気づきにくい点があります。営業担当やブースに立つ別のメンバーに、実際に声に出して説明してもらい、途中で説明しづらい箇所がないかを確認する工程を入れると、順番のつまずきが見つかりやすくなります。

展示会の規模や頻度によっては、毎回この確認を行う体制を作るほどではない場合もあります。年に一度程度の出展であれば、出展前の簡易な読み合わせで十分なこともあります。頻繁に出展する場合は、資料の型をテンプレート化し、毎回の微調整で対応する方法が効率的です。

  • 資料の最初の1枚で何を伝えているか書き出す
  • 来場者が課題を自覚しているか、していないかを想定する
  • 短時間接客用と商談用で資料を分けるか検討する
  • 既存資料の要素を「特徴」「事例」「次の行動」に分解してみる
  • 別の担当者に声に出して説明してもらう
  • 前回の展示会で来場者が足を止めた枚数や時間を振り返る
  • 次回出展までに直す範囲を「並び替え」か「作り直し」か決める

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