展示会が終わった週の月曜、来場者の受信箱がどうなっているか、想像したことはありますか。

全出展社から、御礼メールが一斉に飛んでいます。「先日はご来場いただき誠にありがとうございました」——件名も一行目もほぼ同じメールが、何十通。あなたが日曜の夜にがんばって書いたメールも、必ずその山に埋もれます

私も昔は、文面を何時間もこねていました。丁寧な挨拶、会社紹介、製品リンク。返信はほぼゼロ。変えたのは文面ではなく、送る前の設計です。この記事では、100 社近くの展示会現場で磨いた「文面より先に決める 3 つ」を書きます。

— この記事の前提

フォローメールの成果の測り方

本記事では、フォローメールの成果を「返信率」ではなく「次回商談の日程が確定した数」で測ります。返信をもらうことがゴールになると、当たり障りのない「ご挨拶」メールに戻ってしまうからです。

① 文面の前に、「送る順番」を決める

いちばん多い失敗は、名刺の束に対して全員同じメールを一斉送信することです。平等に見えて、実は全員に薄いことをしています。

私は会期中に、もらった名刺の裏に温度を 1〜3 で書いておきます(声掛けの記事に書いた通りです)。フォローはこの温度順です。

温度 3(課題を話してくれた人)——翌朝、個別に手打ち。
温度 2(足を止めて聞いてくれた人)——翌日中に、課題別テンプレで。
温度 1(名刺交換のみ)——2〜3 日内に一斉配信でよい。

ポイントは、温度 3 に全力を注ぐことです。数十枚の名刺のうち、商談になるのはほぼこの層です。全員への丁寧さより、一人への具体性。順番を決めるだけで、同じ労力の配分がまるで変わります。

② 送る時刻は「翌日の午前中」と決めておく

「落ち着いてから丁寧に書こう」は、フォローメールでは悪手です。理由は 2 つあります。

ひとつは、さっき書いた御礼メールの山。多くの出展社は会期後 2〜3 日してから送ってきます。翌日の午前中に届けば、山が積み上がる前に読まれる。それだけで開封のされ方が違います。

もうひとつは、相手の記憶です。ブースでの会話を覚えているのは、せいぜい数日。1 週間経ったメールは、初対面の営業メールと同じ扱いになります。

だから私は、会期最終日の夜に「翌朝送る分」を仕込んでから寝ます。正直、いちばん動きたくない夜です。でも、展示会の成果はこの夜に決まると思って、ここだけはやり切ります。

③ 一行目から「御礼」をやめて、会話の続きを書く

順番と時刻が決まって、初めて文面です。といっても、決めることはひとつだけ。一行目を御礼にしないことです。

「先日はご来場ありがとうございました」で始まるメールは、その瞬間に「他の何十通と同じもの」として処理されます。代わりに、ブースでの会話の続きから入ります。

「夜勤の方が現場まで確認しに走っている、とおっしゃっていた件。帰りの新幹線で少し考えてきました」

これができるかどうかは、文章力ではありません。会期中に名刺の裏へ一言メモを書いたかどうかで決まります。フォローメールは会期後に書くものではなく、会期中に半分書き終わっているものなんです。

末尾も「またご縁がありましたら」ではなく、選べる日程を 2 つ添えて終わる。「来週の火曜 14 時か、木曜 10 時ですと、どちらがご都合よいですか」。次の一歩を具体にした分だけ、日程は決まります。

実務チェックリスト(会期前に仕込む分まで)

フォローメールの設計は、実は会期前から始まっています。そのまま使えるチェックリストにしました。

  • 【会期前】温度別テンプレを 3 種類だけ用意する(温度 3 用は骨子のみ。当日の会話で完成させる)
  • 【会期前】日程調整リンク(カレンダーツール)を発行しておく
  • 【会期中】名刺の裏に「課題の一言」と「温度 1〜3」を書く
  • 【最終日の夜】温度 3 の宛先と一行目だけ書いて寝る
  • 【翌日午前】温度 3 を手打ちで送信。件名は「〇〇の件、続きです」の形
  • 【翌日中】温度 2 を課題別テンプレで送信
  • 【2〜3 日内】温度 1 に一斉配信。ここだけは効率優先でよい
  • 【1 週間後】返信のない温度 3 にだけ、電話で追う

フォローメールは、会期後に書くものじゃない。
会期中に、半分書き終わっているもの。

— まとめ

文面の上手さは、最後の 1 割

送る順番(温度順)、送る時刻(翌日午前)、一行目(会話の続き)。この 3 つが決まっていれば、文面は不器用でも商談になります。逆にこの 3 つがないまま美文を磨いても、御礼メールの山の中では誰にも届きません。設計が 9 割、文面は 1 割です。

会期前・会期中・会期後の全体設計は 展示会の ROI を立て直す、翌週から動く 15 の設計 に、当日の接客は 展示会の声掛け、やめた 5 つのこと にまとめています。あわせてどうぞ。