会期前日の夜、印刷所に駆け込んでチラシを刷り直す。ノベルティの箱を深夜に開けて検品する。——展示会あるあるとして笑い話になりますが、私は笑えません。

前日に慌てる会社は、例外なく「モノの準備」から始めて「商談の仕込み」を後回しにしています。ブース・チラシ・ノベルティは間に合う。でも、来てほしい企業への事前の声かけ、当日の台本、会期後のフォロー体制は、前日には絶対に間に合いません。

この記事では、100 社近くの展示会現場で使ってきた逆算スケジュールを、表ごとそのまま公開します。何ヶ月前に何をやるかで、当日の成果はほぼ決まっています。

— この記事の前提

「準備の完成」の定義

本記事では、準備の完成を「ブースが建った状態」ではなく「会期初日の朝、アポが入っている状態」とします。装飾の準備と商談の仕込みは別物で、成果を分けるのは後者です。

逆算スケジュール表(保存版)

まず全体像です。左の時期から順に、「商談の仕込み」と「モノの準備」を並走させます。

時期商談の仕込み(成果に直結)モノの準備(並走でよい)
3 ヶ月前出展目的を「次回商談の日程を確定できた件数」で定義し、目標数を決める。ターゲット企業リストの作成開始小間位置の確認、装飾会社の選定
2 ヶ月前キーメッセージを 7 語以内で確定。当日の接客台本(課題を言い当てる一言・相手が黙る質問)の初稿ブースデザイン確定、チラシ・パネルの構成
1 ヶ月前ターゲット企業への事前アポ架電を開始。「会期中にブースで 15 分」の約束を取り付ける印刷入稿、ノベルティ発注
2 週間前フォローメールのテンプレを温度別に 3 種類用意。日程調整リンクを発行スタッフのシフト確定、備品リスト確認
前週接客ロールプレイ。名札の見方・温度メモの付け方をスタッフ全員で揃える搬入スケジュール最終確認
会期中その場で次回日程を握る。名刺の裏に課題メモと温度 1〜3。最終日の夜に温度 3 のメールを仕込む
翌日〜午前中に温度 3 へ手打ちメール → 温度 2 → 温度 1。1 週間後、返信のない温度 3 へ電話

以下、つまずきやすい時期だけ補足します。

3 ヶ月前:目標を「日程を握れた数」で決める

ここを飛ばすと、あとの全部がブレます。「名刺 300 枚」を目標にした瞬間、ブースはスキャン大会になり、フォローは一斉配信になり、翌週から誰も動かなくなる。

目標は「その場でカレンダーに入った次回日程の数」。この数字から逆算すると、必要な接客数、必要なスタッフ数、事前アポの必要件数が全部決まります。当社の支援案件では、1 展示会あたり平均 20 件の商談化をこの逆算で組んでいます(2026 年 7 月時点・設計込みで支援した場合の実績です)。

1 ヶ月前:事前アポが、当日の保険になる

意外と知られていませんが、強い出展社は会期前に当日のアポを埋めています。「〇日にブースにいるので、15 分だけ寄ってください」——これだけの電話です。

事前アポが 5 件あれば、当日の通路が閑散としていても最低限の商談は確保できます。天候や隣のブース次第で入りが揺れる展示会で、これは効きます。ターゲットリストがあれば 1 ヶ月前からで間に合いますが、リストがなければここが 2 ヶ月前倒しになります。

前週:ロールプレイだけは省略しない

チラシの誤植は当日なんとかなります。でも、スタッフの一言目がバラバラなのは当日直せません。

前週に 1 時間だけ、全員で接客のロールプレイをします。合わせるのは 3 つだけ。課題を言い当てる一言、相手が黙る質問、その場で日程を打診する言い回し。台本の詳細は声掛けの記事に書いた通りです。

装飾は前日でも間に合う。
商談の仕込みは、前日には絶対に間に合わない。

— まとめ

「いつから」の答えは、リストの有無で決まる

ターゲットリストがある会社は 3 ヶ月前から。ない会社は、リスト作りが乗る分 4〜5 ヶ月前が現実的です。どちらの場合も、先に決めるのは装飾ではなく「日程を握れた数」の目標。そこから逆算すれば、前日の夜に印刷所へ走ることはなくなります。

出展全体の設計は 展示会の ROI を立て直す、翌週から動く 15 の設計、会期後の動きは 展示会のフォローメール、文面より先に決める 3 つのこと にまとめています。あわせてどうぞ。