経営者100人インタビュー、今回のゲストは tav support の小谷佑介さんです。Xで私の投稿に共感してフォローくださったのがきっかけで、この日のインタビューが実現しました。バックオフィス支援という、営業代行をやっている私とも重なる領域。しかも「代行で終わらせず内製化させる」という、私が営業代行で大事にしている考えと同じ設計。聞きたいことが尽きない30分でした。
収録30分から、要点だけ6つ
- 社名 tav = time added value。経営者に「時間」と、会社に「付加価値」を生む
- 経理の記帳代行で終わらせず、コスト分析まで添えて価値を返す
- 補助金採択率71.8%の裏側は、加点項目の取得支援と、不採択事例のノウハウ
- あえて"手離れ"=内製化を目指す。永久に代行するより「卒業」してもらう
- 30名以下は代行、100名超は教育・内製化——支援の形が規模で変わる
- 「AIの要約をノールックで出さない」——AIを使い倒しつつ、最後は人が確認する
Q1|社名「time added value」に込めたもの
tav = time added value から来ているとのことですが、どんな背景でこの名前を?
弊社は、中小企業や個人事業のバックオフィス部門——経理・採用・労務・総務——の専門家という立場です。社内の担当者を教える「教育」、人手が足りず社長が経理をやっているような会社の「実務代行」、そして体制構築や助言をする「戦略」。この3つを組み合わせた「tavスク」でやっています。
私は元々、管理本部畑で10年ほど働いていました。独立する時に「自分に何が提供できるか」を考えて、バックオフィスなら一定の知識があると。ただ、単なる記帳代行で終わらせるんじゃなくて、記帳と合わせてコスト分析をして「この人件費、業界的平均より高いんですが、どんな要因がありますか?」とプラスアルファの価値を返したい。社長に「時間」を、会社に「付加価値」を生みたい。そこからこの社名にしました。
Q2|「聞いたら教えてくれる上司」という支援
スクールやコンサルのような形もされているんですか?
「tavスク」と呼んでいて、教育・実務・戦略の3つに分けています。スクールという形ではまだやっていなくて、お客さんの実務を支援する流れの中で、担当の人事さんに仕事のやり方・知識を教える。言ってみれば「聞いたら教えてくれる上司」みたいな存在です。人事や経理って専門職なので、中小企業だと専任担当がいないことが多い。採用も総務も給与計算も一人でやっていて、深い専門知識まではなかなか実務で習得できない。そこを教えてあげられる。
将来的には、本当にスクールもやりたいと思っています。ターゲットは、採用支援や経理・財務の業務代行をしているフリーランスや、企業内の人事・経理担当者。簿記の資格って、実践では最初まったく活かせなかったんですよ。資格勉強と実践は違う。だから、バックオフィス担当者としてお金を稼ぐために必要な、実践的なノウハウを教えたい。これは他であまり聞かない構想だと思っています。
Q3|採択率71.8%の裏側
補助金の採択率71.8%は相当高いと思います。他社との違いは何ですか?
この業界の採択率は、補助金にもよりますが30%くらいのものが多くて、高くても40〜60%。そこに対して、うちはプラス10〜20%高い水準を保っています。
理由の一つは、元々事業計画書の作成や金融機関との折衝をずっとやっていたので、作り込みが得意だったこと。でも補助金は、事業計画書を作って出すだけが全てじゃないんです。採点に必要な内容を理解して、加点項目——くるみん、えるぼし、健康経営みたいな、国が押している制度の取得を支援する。これで採択率が上がります。あとは数をこなす中で、採択だけでなく不採択のノウハウも溜まっている。「こういう時は落ちる」が分かっている。0から始めた時に教えてくれた先生方がいたのも大きかったです。
Q4|「バックオフィス=コスト部門」をひっくり返す
バックオフィスって裏方に見られがちです。それをどう「価値を生む部門」にひっくり返すんですか?
まさに、バックオフィス=コスト部門というのが日本の常識だと思うんですが。直接売上を作る部門ではないけれど、採用や、人のエンゲージメントを高める動きは、間接的には売上につながる。給与計算や労務手続きも、きちんと知ってる人事労務がいれば、事故やミスが少ないはず。それだけで余計な理由で人は離れずに済む。いま人を1人採用するのに何百万円もかかる時代に、事務的なところが雑で人が離れるのは、ものすごい機会損失なんです。
経理も、数値分析し、会社の目標に対して現状の数字を可視化し、改善点を見つけ、そしてスピード感を持って渡す。前に勤めていた会社は、情報と意思決定の速さがものすごくて、結果として業績が2倍、5倍、10倍と上がっていった。だからバックオフィスは、価値を生む部門だし、そういう部門にした方がいいと思っています。
直接売上を生むわけじゃない。
でも、価値を生む部門なんです。
Q5|あえて"手離れ"=内製化を目指す理由
普通は代行で継続課金した方が儲かりますよね。それでも内製化=手離れを目指すのは、なぜですか?(私も営業代行で"自走させて手離れさせる"を大事にしているので、ここは本当に伺いたくて)
もちろん、ずっと代行で契約してくれたら収益になるのでありがたい話です。でも、私たちのノウハウを内部に落とし込んで、担当の人事や経理がやってくれる方が、企業にとってはいいと思っていて。私はそれを「卒業」と捉えています。自社で確立して卒業してもらった方がいい。その後は小さく中長期のお付き合いができれば嬉しい、というくらいで。
お客さんの傾向でいうと、30名以下だと7〜8割が「代行してほしい」。100名を超えると担当者がいるので「教育・内製化してほしい」の比率が増える。会社の成長曲線に乗ってくると、内製化のオーダーから業務を見直して、私たちが手を動かす代行部分もありつつ、実務担当者に教え込んでいく——そこが仕事の中心になります。
Q6|「AIの要約を、ノールックで出さない」
Xで「AIの要約をノールックで出していませんか?」という投稿をされていましたよね。AIを使い倒しつつ、最後は人が確認する。この線引きが、私の考えとまったく同じで驚きました。
補助金申請の「誘導型プロンプト」というのを作って配っているんですが——AIで事業計画書は簡単に作れるようになった。でも「補助金用の計画書を作って」と依頼して出来上がったものを、そのまま出して通しても、落ちると思っているんです。抜けや穴があるし、その会社が本当にやりたい事業計画なのか、という問題もある。
だから誘導型プロンプトは、公募要領と採点項目を読み込んだ上で、AIがヒアリング形式で聞いてくれるようにしてあります。私たちコンサルがお客さんの計画書を一緒に作る時、最初にやるのがヒアリングなんですね。それをAIにさせている。AIで作れる時代だからこそ、丸投げで放置せず、人が確認する。ここは崩さないです。
Q7|しんどかった時期と、1年目へのアドバイス
2023年の創業から、一番しんどかった時期を伺えればと。あと、経営1年目の私にひとつだけアドバイスをいただけるなら。
しんどいのは、もしかするとまさに今かもしれません。1〜2年目は元々の繋がりで、ひとりで何とかなっていた。でも今は次のビジョンのために、認知活動をしながら新規で営業をして顧客を増やしていく段階で——正直、そこが少し苦手なんです。人に会って自分をPRして仕事を獲得する。それが一番大変だなと感じています。創業3年間は交流会にもほぼ出ず、知人の横展開だけでやってきたので。
1年目へのアドバイスは……やったらやった分だけ、成功も失敗も含めて経験値は積める。だからとにかく動くこと。「どうしようかな」と足踏みして悩んでいる時間がもったいない。まずワンアクション起こす。それが1歩先に進む方法かなと思います。
——バックオフィスを"稼げる職種"にしたい、という小谷さんの発信は、営業を"外から支える"私たちの仕事とも、根っこで重なっていました。収録の後半は、経理案件の紹介や、営業支援のアライアンスの相談に自然と流れていって。売り込みは一切なしのはずが、お互いに手札を出し合う時間になりました。「動くこと」を自分にも言い聞かせながら、次のビジョンへ歩いている小谷さんの30分でした。
tav support について。
小谷さんは「バックオフィスを稼げる職種にする」ことを掲げ、企業の人事・経理担当者のスキルアップ支援に力を入れていくとのことです。バックオフィスや補助金でお困りの方は、tav support さんへ。
(収録:2026年8月7日 / 収録時間:約30分 / 収録形式:Google Meet / 構成:TSUNAIDE 編集部)
