都築 博志さん(Tsuzuki Hiroshi)
株式会社グリーンイノベーションズホールディングス 代表取締役
24歳で起業。建設(リフォームの全国下請け)、人材紹介・エンジニア派遣、保険代理店、IT、経営者コミュニティ「Bizfit」など幅広く展開。エンジェル投資家として20社超に出資(1社上場)。倒産寸前を5回乗り越えてきた。

経営者100人インタビュー、今回のゲストは グリーンイノベーションズHD の都築博志さんです。撮影はご自宅。収録中に「お寿司職人が来た」と中断が入るような、賑やかな現場でした。私が最近入会した経営者コミュニティ「Bizfit」のご縁で、この日が実現しました。都築さんの24年は、想像を超える浮き沈みの連続でした。

— この回のハイライト

収録21分から、要点だけ6つ

  • 24年で倒産寸前が5回。創業初期・同業者の詐欺の連座・震災・店舗事業の失敗・コロナ
  • 乗り切れたのは「社員が逃げなかったこと」と「キャッシュを常に借りておいたこと」
  • 27歳で「倒産=キャッシュがなくなること」と気づき、使わなくても借りまくった
  • 個人保証が1億を超えた瞬間、「逃げ道がなくなって、前に進むしかなくなった」
  • 経営哲学は「自分ができることしかしない。他の人でもできることは全部任せる」
  • 1年目へ——「素直になれ。結果を出している人に素直に聞いて、実行する」

Q1|まず、事業について

— 金子
簡単に自己紹介からお願いできますか。
— 都築

グリーンイノベーションズホールディングスの都築です。建設、人材、金融、IT、コミュニティと、幅広く展開しています。もともと建設がスタートで、いまはリフォーム事業を全国で下請けでやっている。家電量販店やハウスメーカー、電力会社さんからお仕事をいただいて工事をします。あとは人材紹介、エンジニア派遣、保険販売代理店。最近始めたのが経営者コミュニティですね。

Q2|倒産寸前が、5回

— 金子
過去にご苦労があったと伺っています。どういう過去を、どう乗り切ってきたんですか。
— 都築

僕は24年経営してきて、倒産寸前になったことが5回あります。1回目は、会社を作ったばかりでキャッシュフローが怪しく、ギリギリだった。2回目は、同業者が詐欺事件を起こして——僕じゃないですよ——「お前も同業だろう」と言われて連日連夜バッシングされた。当時、省エネ装置のレンタルで一般家庭に飛び込み営業をしていたので、その煽りをもろに受けた。

3回目が東日本大震災。1年間で4億円の損害が出て、債務超過になった。4回目は、不動産・リフォーム・保険をワンストップで売る店舗ビジネスを、2〜3年で5店舗出したら見事に失敗して、合計9億円くらい赤字が出た。5回目がコロナ。そのたびに気合で乗り切った。結論、気合です

倒産寸前が5回。
そのたびに気合で乗り切った。結論、気合です。

Q3|「気合」の中身——社員とキャッシュ

— 金子
気合といっても、それぞれの場面で、どう乗り切ったんでしょう。
— 都築

場面によって違うんですが、共通していたのは二つ。一つは、全ての場面で社員が逃げずに一緒にやってくれたこと。辞めていった社員もいたけど、その時々で頑張ってくれた。

もう一つは、キャッシュがあったこと。27歳の頃、自分は未熟だとちゃんと認識していて。未熟だからこそ一つ分かったのが、倒産というのはキャッシュがなくなった時だということ。だから、とにかくキャッシュさえあれば倒産しない。使わなくても銀行から借りまくった。30歳くらいで10億、コロナの時は金利ゼロだったので14億。使わないけど、何かあった時のために借りておく。震災の時も10億持っていたから、債務超過になっても復活できた。

— 都築

それと、個人保証。26〜28歳の頃に銀行借入が1億を超えて、個人保証も1億を超えた。その瞬間に腹がくくれたというか。「これ、失敗したらもう返せない」と。失敗したら返せないんだから、逃げ道がなくなって、前に進むしかない。会社員に戻ろうかな、なんて考えもしなくなりました。

Q4|「いきなり大きくは借りられない」——信用の積み上げ方

— 金子
私はまだ借入をしたことがなくて。銀行さんとどう立ち回れば、そこまで借りられるようになるんですか。いきなり大きな金額は無理な気がして。
— 都築

それは地道な積み重ねです。いきなり大きな金額は借りられない。銀行って、どれだけ付き合いが長いかによっても変わってくるんです。だから小さい枠から始めて、いい時から借りる必要はないけど借りておいて、その分の金利を払う。そうすると銀行も儲かるでしょう。その付き合いによって信用が上がっていく

別に借りられるなら借りた方がいいじゃないですか。金利なんてたかが知れてる。とにかくキャッシュがなくなったら終わりなんだから、100億持っていたら、毎年10億赤字でも10年は生き抜ける。そこを若い時からずっと思っています。(金子が「うちは営業代行で、キャッシュは後払いのモデルなので、まだ借りる必要を感じていない」と話すと)組織が大きくなって売上規模が上がってくると、多分変わってきますよ。

Q5|経営哲学——「自分ができることしかしない」

— 金子
Xで「社長の仕事は決断1割、環境づくり9割」「人を見極めて配置する」と話されていました。都築さんの経営哲学を伺いたくて。
— 都築

哲学の一つは、僕は自分ができることしかしない。会社経営には営業からバックオフィスまでいろんな業務があるけど、他の人でもできることは全部徹底的にお任せする。よく伸びない社長って、一人で何でもかんでも抱え込んで、毎日忙しくて儲からない。優秀な人ほどそうなりがちです。僕は自分が優秀でないと分かっているから、とにかく人に任せる

(金子が「立ち上げたてで自分一人でやってしまっている」と相談すると)余裕ができればすぐ任せます。自分は、自分にしかできない生産性の高い時間に使う。まさに、こういうインタビューは自分にしかできないでしょう。その方が価値がある、ということです。

Q6|エンジェル投資は「人」で決める

— 金子
いまエンジェル投資もされていますよね。投資する側に回った背景と、どんな起業家に投資したくなるか。
— 都築

コロナ前に、一度「現場に全て任せて、自分は第一線から降りてエンジェル投資をしたい」と思った時期があって。結果、23社くらいに入れて、1社が上場しました。

どういう人に出資するかというと、結局、人です。人が好きかどうかと、実力があるかどうか。その人の能力が高ければ、事業がダメでもピボットして、いつか成功する。ある出資先は当時20歳の東大生で、いろいろあってピボットして、今いい感じに成長しています。若手支援が単純に好きなんですよね。自分より優秀な関係者は山ほどいるけど、若手支援が大好きな人はそんなに多くない。「自分だったら役に立てるかな」と思える相手に出資しています。

Q7|経営2ヶ月の私に、ひとつだけ

— 金子
まだ経営2ヶ月なんですが、これはやっとけ、というアドバイスがあれば。
— 都築

素直になった方がいいですね。一人で難しく考えるんじゃなくて、結果を出している人に素直に聞きに行く。「どうしたら自分がもっと伸びますか」と。

すごく思うのは、世の中みんな頑張っているんですよ。会社員も含めて。みんな頑張っているのに、成果には大きな差が出る。ある人は上場して何十億何百億、ある人はずっと時給いくら。この差は、どこで頑張ればいいかを考えて、結果を出している人に素直に聞いて実行するかどうかで縮まっていく。だから、素直に周りの結果を出している人に聞きに行く。それが大事だと思います。

——「今やっていたことが良かったんだと自信がついた」。都築さんに背中を押されて、私はそう思えました。24年で5回の倒産寸前を、社員とキャッシュと気合で越えてきた人が、最後に言うのが「素直に聞け」。派手な武勇伝の中に、驚くほど地に足のついた原則が通っていました。お寿司職人が来て、ホームパーティーが始まる直前に、こんなに濃い21分になるとは思っていませんでした。

経営者コミュニティ Bizfit について。
都築さんが主宰する経営者コミュニティ「Bizfit」は、現在300名ほど。経営者と一緒に学び、事業を成長させる場です。ゲスト参加(ランチ会など)も可能とのこと。「結果を出している人に素直に聞く」を実践したい方は、ぜひ。

(収録:2026年7月23日 / 対面収録 / 収録時間:約21分 / 構成:TSUNAIDE 編集部)