「午前中は絶対に電話するな」。ある製造業のリストで、私はそう決めていました。理由は単純です。午前中にかけても誰も出ないからです。工場のラインが動いている時間帯に、事務所の電話は鳴りっぱなしで放置される。これが分かるまでに、私は無駄な架電を何百件もしています。
展示会で名刺交換をしても、その後の電話がつながらなければ商談は生まれません。TSUNAIDEでは商談化の指標を「名刺の枚数」ではなく「次回商談の日程を確定できた件数」で見ています。だからこそ、電話がつながる時間帯にこだわるんです。地味ですが、ここを外すと何も始まりません。
業界ごとに「静かな時間」が違う
製造業は始業直後と終業前が動いています。逆に10時から16時くらいはラインが稼働していて、事務員も電話どころではありません。一方でIT系のオフィスは朝がミーティングラッシュで、つながりやすいのはむしろ昼休み明けの13時台や、終業間際の17時以降だったりします。飲食・小売の本部は、店舗が落ち着く平日午後にようやく本部の電話が拾われる、という傾向もありました。
これは私が架電記録をひたすら見返して気づいたことです。特別な調査をしたわけではありません。かけた時間と、出た・出なかったの記録を業界別に並べただけです。正直、地味です。でもこの作業をやるかやらないかで、アポ獲得率はまったく変わります。当社支援案件・2026年時点の実績値ですが、リスト設計を見直した好調案件では、テレアポのアポ獲得率が0.6%から3.2%まで上がったことがあります。時間帯の設計は、そのリスト見直しの中でも特に効いた要素のひとつでした。
で、どう判断するか。出た時の一言で見極める
時間帯を変えても、出た瞬間の対応を間違えれば意味がありません。私が現場で使っているのは、こういう聞き方です。
「いま1分だけよろしいですか?展示会でいただいたお名刺の件で、簡単にご確認だけさせてください」
ここで大事なのは「1分だけ」と時間を区切ることです。忙しい時間帯にかけてしまった時、これがあるかないかで相手の反応がまったく違います。もし「今ちょっと」と濁されたら、そこで無理に話を続けません。「では何時ごろでしたらお時間ありそうですか」と聞いて、相手の言葉で時間を指定してもらいます。ここで自分から時間帯を提案すると、断りやすい隙を与えてしまうんです。
逆に、相手が普通に話し始めてくれたら、そこで初めて展示会で聞いた課題の話に踏み込みます。
「ブースで少しお伺いした、〇〇の管理の件なんですが、まだ紙でやられてますか?」
この一言で「はい、そうなんです」と返ってくるか、「いや今は別の方法で」と返ってくるかで、次に何を提案するかが完全に変わります。前者なら現状の運用の話を深掘りします。後者なら、今の方法の不満点を聞く方向に切り替えます。ここを判断せずに一本調子で台本を読み上げると、たいてい途中で切られます。
AI開発の案件でも、結局は「連絡がつくかどうか」
営業代行だけでなく、AI開発の案件でも同じことが起きます。試作品ができても、担当者と定例で連絡が取れなければ本番運用まで進みません。当社支援案件では、試作から本番運用への移行率は82%です。この数字を支えているのは、技術力だけではなく、担当者とのやり取りのペースを最初に決めておくことです。「毎週水曜の15時に15分だけ」というように、時間帯まで含めて約束してしまう。ここも展示会の電話対応と同じ発想です。
時間帯を変えるだけでは足りない。記録して初めて意味を持つ
時間帯の見極めは、一度分かったら終わりではありません。展示会が終わってから2週間、1ヶ月、と経つにつれて相手の状況も変わります。だからこそ、かけた時間・出たかどうか・出た場合の反応を、毎回記録することが前提になります。これをやらずに「あの業界は午後がいい」と決めつけると、次の展示会で外します。
- 展示会で獲得した名刺を業界別に分類する
- 架電した時間帯と結果(出た・出なかった)を毎回記録する
- 温度別に電話トークを3種類つくる(すぐ話せる相手・忙しい相手・迷っている相手)
- 「1分だけ」の一言を最初に必ず入れる
- 相手が濁したら時間指定を相手に委ねる
- 展示会後1週間・2週間・1ヶ月の3タイミングで架電時間帯を見直す
- 次回商談の日程が確定した件数を毎週集計する
