「今日は何件架電した?」

私がまだ営業代行の現場に入りたてだった頃、毎朝この質問から1日が始まる案件がありました。目標は1日100件。達成すればチームの空気は良くなります。でも、アポ率は下がっていきました。件数は達成しているのに、商談化する件数は減っていく。正直、何が起きているのか最初は分かりませんでした。

ノルマが「早く切る」を生む

原因は単純でした。100件という数字を守るために、架電1件あたりの時間が短くなっていたんです。相手が少しでも興味なさそうな反応をすると、次の1件に移ってしまう。本当は温度が低いだけで、あと一言で拾えたかもしれない相手を、手放していました。

件数のノルマは「架電すること」を管理できても、「架電の質」までは管理できません。ここが落とし穴です。数を追うほど、1件にかける粘りがなくなっていく。これは怠けではなく、構造の問題です。ノルマがそういう行動を作ってしまうんです。

で、どうするか。件数より「一次反応」を見る

私たちが今リストを見直すときにやっているのは、架電の件数管理をやめて、「一次反応の分類」を管理することです。具体的には、電話に出た相手を「即断りタイプ」「話は聞くが即決しないタイプ」「興味を示すタイプ」の3つに分けて、それぞれ違うトークを用意します。

特に効くのが、即断り予備軍への一言目です。忙しい相手ほど、いきなり売り込みだと切られます。だから最初の一言は、課題を確認する質問にします。

「〇〇のご担当、まだ紙やExcelで管理されてません?」

この一言は、売り込みではなく確認です。相手は「はい」か「いいえ」で答えられるので、警戒せずに答えてくれます。ここで「はい、そうです」と返ってきたら、次の一言で日程の話に進めます。

「実は同じ状況から改善できたケースがあるので、15分だけお時間いただけませんか。来週の火曜か木曜、どちらが動きやすいですか」

ポイントは「興味ありますか」ではなく、日程を先に2択で聞くことです。判断のハードルを下げると、アポの確定率が上がります。当社支援案件・2026年時点の実績値ですが、リスト設計とトークをここまで見直した好調案件では、アポ獲得率が0.6%から3.2%まで上がったケースがあります。

判断の分かれ目:粘るか、切るか

ここで大事なのが、どこまで粘って、どこで切るかの線引きです。私は次のルールで運用しています。

相手が「今は忙しい」と言った場合、それだけで切ってはいけません。忙しいのは事実でも、興味がないとは限らないからです。この場合は「いつなら5分もらえるか」を必ず聞きます。日程の候補を出してもらえたら、それはまだ拾える相手です。

逆に、相手が「うちには関係ない」「担当者が違う」とはっきり否定した場合は、そこで切ります。ここで粘ると、次の架電の時間を削るだけでなく、相手にも悪い印象を残します。粘るべきは「時間がない人」、切るべきは「対象外の人」。この違いを現場で言語化しておくと、架電するメンバー全員の判断がぶれなくなります。

数字は「架電件数」ではなく「商談化」で見る

TSUNAIDEでは、展示会支援もAI開発も営業代行も、成果は名刺の枚数や架電件数では測りません。「次回商談の日程を確定できた件数」で見ています。展示会支援では、設計込みで支援した場合、平均で20件の商談化を実現している実績があります(当社支援案件・2026年時点の実績値)。これも、来場者数や名刺の枚数を追った結果ではなく、会期後に日程を確定させることをゴールに設計したからです。

架電も同じです。件数を追うと、目の前の1件を粗く扱ってしまう。でも「今日、日程を何件確定できたか」を追うと、自然と1件にかける粘りが変わります。地味ですが、これが一番効きます。

実務チェックリスト

  • 会期前に温度別テンプレを3種類つくる
  • 架電の一次反応を3タイプに分類して記録する
  • 最初の一言を「質問形」で用意する
  • 日程確定のトークを2択形式に固定する
  • 「忙しい」と「対象外」を切り分けるルールをチームで共有する
  • 1日の目標を「架電件数」から「日程確定件数」に変更する
  • 週次で商談化率を振り返り、トークを1つだけ修正する

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