3年前、私は自分でデザインしたチラシをブースに置いていました。会社概要、サービス内容、実績、代表挨拶。A4の裏表にぎっしり詰め込んで、これで伝わるはずだと思っていました。結果は、閉会後のゴミ箱に山積みでした。

持ち帰られたのは、隣のブースが配っていた、たった一行のキャッチコピーとQRコードだけのカードでした。悔しかったですが、答えは目の前にありました。

なぜ情報量が多いほど捨てられるのか

展示会の会場では、来場者は1ブースに数十秒しかいません。その場でチラシを読み込む人はほとんどいないんです。読むのは、持ち帰って会社に戻ってからです。つまりチラシの役割は「その場で理解させること」ではなく「持ち帰った後に思い出させること」なんです。

情報を詰め込むと、その場で読ませようとする作りになります。文字が小さくなり、要素が増え、結果として「後で読むもの」ではなく「今読まないと分からないもの」になってしまう。これが捨てられる理由です。

で、どうするか:削る基準を決める

私がやっているのは、チラシに載せる情報を「相手が自分で検索できるか」で仕分けることです。会社概要や実績の詳細は、検索すれば出てきます。だったら載せなくていい。載せるべきは、検索しても出てこないもの、つまり「今日この場で聞いた話」だけです。

具体的には、チラシの表面には課題を一文だけ書きます。裏面にはQRコードと連絡先だけ。それ以外は全部削ります。

迷ったときの判断基準はこうです。「この情報がないと、来場者は困るか」を自問して、困らないなら削る。困るかどうか分からない時点で、それはもう削っていい情報です。本当に必要な情報は、迷わず「これがないと商談にならない」と分かるものだけだからです。

チラシより先に、声かけの一言を決める

チラシを削った分、現場での一言が重要になります。ここが一番泥臭い部分です。私が現場でよく使うのはこの一言です。

「展示会のあとの商談日程って、その場で決まっていますか?」

この質問は、相手の業務フローを一発で聞き出せます。名刺交換だけして終わる会社なのか、その場で次のアポを取る文化がある会社なのか。これが分かれば、チラシに何を書くべきかも自然と決まります。

相手が「うちはいつも名刺交換で終わってしまって」と答えたら、チラシには次回接触のハードルを下げる一言を入れます。「後日、御社の状況に合わせて15分だけお話しさせてください」のような具体的な一文です。逆に「その場でアポまで決めたい」というタイプの会社には、その場で日程調整できるQRコードやカレンダーリンクを裏面に大きく載せます。

持ち帰られたかどうかは、後日の反応で分かる

正直、チラシが持ち帰られたかどうかをその場で確認する方法はありません。分かるのは後日です。会期後にフォローの連絡をしたときに「ああ、あのチラシ持ってます」と言われるかどうか。ここで初めて答え合わせができます。

当社の支援案件では、こうした設計込みで展示会に臨むと、平均20件の商談化につながっています(当社支援案件・2026年時点の実績値です)。この数字は、チラシ単体の効果ではなく、声かけの一言、チラシの情報設計、会期後のフォローまで一体でやり切った結果です。どれか一つが欠けても、この件数には届きません。

地味な話ですが、結局は「削って、聞いて、後で確認する」を毎回丁寧に繰り返すことに尽きます。派手な仕掛けよりも、この繰り返しをやり切れるかどうかが差になるんです。

  • チラシの情報を「検索で出てくるか」で仕分けて削る
  • 表面には課題を一文だけ書く
  • 裏面はQRコードと連絡先のみにする
  • 会期前に温度別の声かけ一言を3種類つくる
  • 「商談日程はその場で決まるか」を来場者に聞いて反応で出し分ける
  • 会期後のフォロー時にチラシを覚えているか必ず確認する
  • 次回の展示会前に、今回捨てられた理由を1つ書き出す

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